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こんにちは!
PRIME ORDERです。
システム開発を外注する時に気をつけておきたいポイントの1つの契約形態をしっかり把握するという点があります。システム開発に限定した話ではありませんが、特にシステム開発を外注する場合は要件定義やタスクが複雑でかつ費用が大きいことから契約形態の認識の齟齬でプロジェクトが失敗してしまうケースも少なくありません。
システム開発では、「一括請負契約」と「準委任契約」の2つのパターンが一般的ですが、どちらがよいのかというは、永遠の課題ともいえます。
どちらの契約方法にもメリットやデメリットがあり、どちらの契約方法を選ぶべきかは開発内容によって異なります。
この記事では、一括請負契約と準委任契約ではどちらを選べばいいのかについて、様々な視点で解説します。
一括請負契約と準委任契約のシステム開発の違いまとめ
一括請負契約とは、「要件定義通りの成果物を納品すること」を主な目的とした契約内容です。一括請負契約ではウォーターフォール型の開発が多く、要件定義からテスト、納品までを一つの流れの中で行います。仕様変更には向いていませんが、スケジュール管理などがしやすく、開発要件などが明確になっているのであれば、おすすめです。
一方で、準委任契約とは、「一定期間の開発リソースを担保すること」を主な目的とした契約内容です。
一般的にシステム開発などは、要件定義どおりに開発が進むということが難しく、ほとんどの場合仕様変更や新しい要件の追加などが発生します。一括請負契約の場合には、仕様変更などのたびにコストが新たに発生しますが、準委任契約にの場合には、仕様変更が発生しても追加コストなどが必要ありません。
一括請負契約も準委任契約も、それぞれにメリットやデメリットがあります。ここからはより詳しく2つの違いについて解説します。
一括請負契約のシステム開発の特徴
ここからは一括請負契約でのシステム開発の特徴について解説します。
一括請負契約のメリット
一括請負契約でのシステム開発には以下のようなメリットがあります
● 要件通りの成果物やアウトプットを得られる
● システム開発にかかるコストを明確にできる
一括請負契約では、納期と要件を明確に決めた上で発注を行います。「成果物を作り納品する」のが一括請負契約であるため、成果物の完成義務や瑕疵担保責任が開発側にある場合がほとんどです。
そのため、受注側からすれば完成品が要件と異なるリスクが低いのが特徴です。また、仕様変更が無い場合には、見積もり以上のコストが掛からないため、開発に必要な費用を明確にできます。
一括請負契約のデメリット
一括請負契約のデメリットには、以下の2つのデメリットがあります。
● 開発コストが高くなりやすい
● 仕様変更・要件変更に追加コストがかかる
一括請負契約の場合、開発側は一度契約した場合、その見積もりのなかで開発を行う必要があります。そのため、見積もり時点で高めに開発コストを見積もられることが多いです。
一括請負契約では、最初に定められた要件で開発を進めます。開発体制も開発側は発注時に殆どのコミュニケーションが完了してしまい、直接現場の担当者やPMと連携をすることが難しいです。そのため、デザインや機能などの急な仕様変更にも対応することができず、仕様変更や要件追加時に発生したコストも追加で必要になります。
そのため、仕様が明確になっていないシステム開発の場合には、コストが膨らみやすくなります。
一括請負契約に向いている開発要件
一括請負契約の魅力は要件さえきちんと決まっていれば、想定したものが想定されていたクオリティで開発されるという点です。
そのため、一括請負契約で依頼する場合には、要件定義が比較的楽で、定型化されているものがおすすめです。
具体的には、WEBサイト制作やシンプルな要件のシステムなど、仕様があらかじめ決めやすい開発事案であれば、リスクを抑えた上で、一括請負契約のメリットを最大限に生かすことができます。
PRIME ORDERのプロジェクトオーガナイザーからのコメント
発注する立場からすると、納期と金額が定まらないシステム開発計画には不安があると思います。その理由から、一括請負での委託は今も根強いニーズがあります。その一方で、最近トレンドになっているアジャイル開発はこの一括請負で委託することは困難です。従来型の、ウォーターフォール開発を採択しないといけない点、注意が必要です。
準委任契約のシステム開発の特徴
ここからは準委任契約の特徴について解説します。
準委任契約のメリット
準委任契約のメリットは、柔軟に仕様変更に対応できるという点です。準委任契約では、使用するエンジニアの月人単価がメインとなり、費用が発生します。そのため、仕様変更が発生したとしても、追加でコストが発生することがなく柔軟に仕様を変更できます。
一括請負契約では最初の要件定義をもとにしてコストを決定します。しかし、システム開発やソフトウェア開発となると、そもそも要件定義が困難であり、完璧に定義しておくことはほとんど不可能に近いです。
一括請負契約に比べて完成責任などはありませんが、準委任契約にすることで、最低限のコストや仕様変更リスクを抑えることができ、結果として費用対効果の高い開発の発注を行うことができます。
人件費が主なコストになりますが、開発体制もタスク量や作業量によって調整できる場合が多く、優秀なエンジニアを一定期間確保することができます。
準委任契約のデメリット
準委任契約のデメリットは、完成責任や瑕疵担保責任がない分、PMのマネジメントスキルが必要な点があげられます。
準委任契約は、「成果物を完成させること」が契約ではなく「一定期間の開発リソースを提供すること」が主な契約内容です。そのため、極論を言ってしまえば、成果物が完成しなくても費用を支払う必要があります。
マネジメントスキルや開発会社側にスキルがない場合には、スケジュールに遅れや開発の修正に時間がかかってしまい、その分開発コストが発生してしまいます。また、十分なタスク量がない場合には無駄なリソースに対してコストを払う必要があります。
準委任契約は、柔軟な仕様変更や要件追加が可能だからこそ、PM自身のマネジメントスキルが重要です。
準委任契約に向いている開発要件
準委任契約に向いている契約要件は、中長期的なプロジェクトや仕様変更の可能性が高い、あるいはあらかじめ仕様を決めきるのが難しいシステムの開発です。
例えば、アプリ開発はユーザへのテストと開発を同時並行で行うため、仕様変更がほとんどの割合で発生します。また、新規のサービスやテストマーケティング段階のプロダクトなどは中長期的な開発や仕様変更が必要になるため、準委任契約であれば、仕様変更にも柔軟に対応することができます。
特に、エンジニア採用は事業を進める上でのボトルネックとなりやすく、採用後のリスクも高いため、準委任契約をすることで、事業の進捗管理をコントロールしやすくできます。
PRIME ORDERのプロジェクトオーガナイザーからのコメント
アジャイル開発で進めようとするなら、準委任契約の形式を取る必要があります。金額と納期が定まらないと不安というお話を前章でしましたが、実は準委任契約でも金額と納期(厳密にはスケジュール)をフィックスすることは可能です。準委任契約は期間と単価を乗じてトータルの費用が計算されます。たとえば、6ヶ月540万円で委託するとして、その期間内に開発できるものを最大化するように進めてもらう、という考え方です。
「一括請負だと作るもの、費用、スケジュールを約束してもらえるから安心だ」と思うかもしれませんが、実情としてはその約束が守られないケースが後を絶ちません。納期に間に合わない、追加費用がたくさん発生する、思ってたものと違うものが納品される、など。出来もしない約束をしない・させない、というのがアジャイル開発(というよりも今日の現実的なシステム開発)の考え方にあり、それをふまえるなら準委任契約での委託を積極的に検討すべきといえます。
準委任契約と一括請負契約で迷ったら準委任契約がおすすめ
準委任契約と一括請負契約はどちらも一長一短の契約方法といえます。しかし、多くのシステム開発の場合、要件定義通りの開発や仕様変更がまったくないということは考えにくいはずです。
そのため、開発要件がシンプルで参考事例が多い場合には、一括請負契約を選択し、一方で、仕様変更の可能性が高く、より柔軟な開発が必要な場合には、準委任契約にするなど、開発内容に応じた発注方法が必要です。
まずは要件定義を始めて、要件定義で迷った場合には準委任契約での開発を考えてみましょう。