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はじめに:顧客管理システムは“事業の中核”
事業成長を加速したいみなさん、こんにちは。
PRIME ORDER代表の内藤です。
唐突ですが、みなさんの事業にとって、なくてはならないものってなんでしょう。もちろんいくつかあると思いますが、中でも大切にしたいのはやはり「顧客」なのではないでしょうか。
今日は、その顧客の情報を取り扱うITシステム「顧客管理システム」についてのお話です。
「顧客」の情報を管理するという行為は古くからありました。大切なお得意様のお名前を台帳に記録して管理することで、どの従業員でも応対をできるようになります。連絡先を把握しているからこそ、大切なご連絡・ご案内をすることができます。顧客の嗜好や困っていることなど、あらゆる情報を記録して参照できるようにしておけば、顧客との関係を末永く良好なものに保ち、大きく膨らませていくことができます。顧客管理業務は、商い事では昔から大切にされていたことです。
情報化の進んだ今日では、顧客管理の重要性はますます増していきました。例えば、顧客行動を集約整理→統計データにして、マーケティングに活用したり。カスタマーサポートでのクレーム対応コストを小さくするためには、過去のお問い合わせ内容やその時の応対記録が必要です。営業チームは、顧客への提案タイミングを把握し、そのニーズを折よくくすぐるようなアプローチ、アイデアを顧客管理情報から得ることができます。
顧客管理が重要なのは現場部門だけの話じゃありません。顧客情報を通して経営や事業戦略に関わるメンバーが”自社の商品・サービスが選ばれる理由”の理解を深めれば、本質をついた業務改善を実現できるでしょう。のみならず、”顧客の心のなかに眠っているさらなるニーズ”を掘り起こし、事業を拡大する新しい戦略を想起する源泉ともなりえます。
こうした顧客管理システムを単なる連絡先管理帳にしないために大切なことはなんでしょうか。それは、部門ごとに分断して管理せず、事業全体の共通プラットフォームにすることです。顧客情報を組織全体でリアルタイムかつ一元的に管理してはじめて、顧客との関係を軸とした事業全体をつなぐ”基幹システム”となります。そんな顧客管理システムは、”デジタル時代の事業基盤”そのものと言ってよいでしょう。
というわけで、今や顧客管理システム=CRMはどの企業のみなさんでもITシステムとして必要不可欠なものになりました。そうしたニーズを追い風に、顧客管理システムのパッケージ・SaaSが世の中に次々と生み出されました。選択肢の中から比較検討し、少ない初期コスト、スケジュールで導入できるのだから、みなさんにとってはハッピーこの上ないですよね。
・・・本当にそうでしょうか?
事業の中核となる顧客管理システム、競合他社と同じパッケージでよいのでしょうか。
御社の事業は、世間一般の平均的な顧客管理業務にはめ込むことができるほど、独自性や複雑性がないものですか?顧客との関係に、自社固有のこだわり、アプローチ、スタイルはないでしょうか。
導入のためのコストやスケジュールという一時的な視点にとらわれて、百年の計を見誤ってしまうリスクがそこにないですか?
SaaS型CRMの“見えにくい限界”
SaaS型CRMは、機能が豊富です。中には、他社は使うかもしれないけれどうちには必要ないな、という機能もたくさんあるので、至れり尽くせりで安心感があるでしょう。
しかし一方で、使用しなくていい(使用してはいけない)余計な機能、入力欄の存在はユーザーにとってノイズになります。不要なものがたくさん画面にあると、なんだか分かりづらい、使いづらい印象を与えるものです。そしてまた、そうした印象は、”あのシステム、使いづらいよねー”、”もうひとつだよねー”といったふわっとした共通認識につながって、結果、顧客管理システムに集約すべきデータが完全には集まらないなんてことも。耳を澄ませてください。現場からこんな声が聞こえそうじゃないですか?
「え、そういう内容も入力するんですか?どこに入力したらいいかわからなかったんで、すみません入力してませんでした。あ、でも手元の自分用のExcelにはちゃんと記録してましたよ。だから大丈夫です。」
いいや、大丈夫じゃない・・・、おわかりですよね。大切な情報が属人化・断片化して、事業全体での活用ができなくなっていますよね。

顧客管理システムって、ただ漫然と使えばいいわけじゃないんです。全ユーザーが日々の業務で100%、いや120%使い倒す行為、すなわちデータベースをモリモリ充実させていく行為=”データの資産化”にこそ、顧客管理システムが事業に対して背負う大きな意義があります。自社に本当にフィットするCRMがあるかないかって、想像以上に大切なことです。
また、SaaS型CRMにあるような、どの会社でも使えるように一般化された機能にも注意をはらいたいです。例えば、顧客ごとに割り当てて分類することができる”顧客のステータス”。一般的なステータスでは御社業務にフィットしないこともあるでしょう。SaaSのセールスの人は、「御社と同じ業界の他社さんはじめ、みなさんそのままお使いいただいていて、ご満足いただいてます。ある意味ベストプラクティスと言えますので、業務の方をあわせていただけたら、と。でももしあれでしたら、カスタマイズ可能なんで」というでしょう。
でもそのカスタマイズは、期待より遥かに低い位置に限界があります。導入前はカスタマイズできるって言ってたのに、導入後は実装がなかなか進まない、あるいは無理でしたみたいな連絡が来たり、泣き寝入りされるユーザー企業さんの存在を何社も知っています。
SaaS製品のカスタマイズが難しい理由はベンダー側の固有の事情があります。それについてはいずれ別の記事で解説させていただきますが、抑えていただきたい事実は3つです。
- カスタマイズできない部分(限界)が多すぎる
- 無理やりカスタマイズしがちなので、結果使いづらくなる
- カスタマイズ費用が異常に高いし、なかなか完成しない(スケジュールがものすごくかかる)
それと、せっかく溜め込んだ貴重な資産とも言うべき顧客情報データベース。活用の選択肢が限定されていることがとても多いです。SaaS型CRMに標準搭載された分析機能以上のことはできなかったり、手元のツールや外部ツールで分析しようにも、全部のデータは取り出せなかったり。特に、カスタマイズで追加したり変更した項目が取り出せないケース、本当によく聞きます。
「いやぁ、うちの会社の顧客管理に特別なノウハウも事情もないからさ。顧客とどうつながっていくか、顧客のどこを見るのか。そのあたりは他社さんと同じで今後もずっと大丈夫。」
もちろん、そういう場合はSaaS型CRMという選択で良いと思います。
自社専用CRMを持つことで得られるメリットとは?
ここまで読んでいただいて、なんとなく自社専用のCRMのほうが良さそうだな、と感じられたかと思います。ただ、実際のところ自社専用CRMでどんなメリットが得られるのか、イメージが湧きにくいかもしれません。ここからは、その具体的なイメージを一緒に膨らませていきましょう。
自社の業務スタイル・事業文化にフィットしたUI、フローにあわせられる
いくら顧客情報を一元的に管理すると言っても、組織内の全部門が同じUI(画面構成)ではうまくないケースもあるでしょう。営業部門、アフターサポート部門、マーケティング部門では記録したい内容、参照したい内容に差があります。つまり、部門それぞれに最適なUIや機能が期待されているのです。
自社文化、伝統に根ざした特別な入力項目だってあるはずです。複雑化した業務フローに対応するための特別な機能、画面構成もあるでしょう。
そうした全ての期待を、独自CRMであれば実現することができます。
なにせ、完全オーダーメイドですから。

中長期にわたって育てていくことができる
四半期、年度・・・と日々を積み重ねていくと、現場やトップの改善努力で業務フローが改良されることもありますよね。そうなると、CRMに求める内容、期待することが変化していきます。そうしたときにも、自社CRMであれば自在に変化・進化させていくことができます。SaaS型CRMの場合にはベンダー側の修正を望むしかありませんが、自社CRMであれば完全に自社資産ですから、主導権を持って変更、拡張をすることができるんです。
他のシステムとの連携も思いのまま
たとえば、経理部門が使用している請求業務のシステムにデータを転送したり、マーケティングチームが使用している分析ツール用に顧客行動データを出力したり。自社独自のCRMですから、他のシステムとの連携に制限は一切ありません。新機軸として立ち上げる基幹プラットフォームと連携したり、あるいはその新基幹システムのコアに据えたり。自社独自CRMの場合には、未来の拡張に制限をかけられることがないんです。
確実な資産としてのデータベースを保有する
SaaS型CRMを使う限り、データは物理的にSaaSベンダーの手元にあります。自社の顧客データであるにも関わらず、フルアクセスすることはできないのが現実ですし、契約内容によってはそのデータの所有権すら危うい場合もあります。自社CRMであれば、すべてのデータを完全に保有することができます。取り出して活用することも、恒久的に残すことも思いのままなのです。
情報化が進み”形のないもの”の価値が高まっていくこれからの世界で、顧客データベースを排他的に自社で占有しているかどうかは、この先の大きな分水嶺になる可能性が高いと思います。
自社独自の営業文化/習慣を打ち出し、象徴化できる
みなさんの事業には競合他社、ないし競合の業界が存在していると思います。ですので、ぜひ思い浮かべてみてください。あなたの会社、ブランドが競合と比較して強みとしていることを。
正直なところ、商品やサービス自体は他社と似たりよったり。そこまで言わなくても、質の違いは僅差。ただそれでも、顧客との関係性で比較優位を持っているんです、という企業の方がいらっしゃるかと思います。そうしたケースでは、営業段階での顧客対応やアフターサポートの業務において、自社独自のスタイルやこだわりがストロングポイントになっているはずです。
そういう現場に対してお仕着せのSaaS型CRMを導入すると、その強みが弱体化ないし失われるリスクがあります。
その逆に、自社独自のCRMを構築すると、現場の強みをさらに後押しすることができるでしょう。その独自CRMは、御社の強みあってのもの。他社ではまったく使いこなせない、ワンアンドオンリーの基盤システムであり、御社ビジネスを見える形にしたものとなります。
きっとそのCRMのシステム名は、システム自体だけを指すのではなく、いずれはシステムを軸として展開される顧客管理業務全体を指すワードとなり、御社の強み、独自性の象徴として名を轟かせることになるんじゃないでしょうか。
複雑あるいは独創的な業務フローに対応できる
ここまで勝ち残ってきているみなさんのことです。顧客関係だけでなく、業務の進め方そのものに優位性・独自性をお持ちの場合があるでしょう。セキュリティ・コンプライアンス要件が厳しいために、フローが特殊なケースもあると思います。得てしてそうしたフローは一般的なそれとは異なり独創的で、複雑なものになっている場合が多いです。そうしたユニークな業務フローに対しては、SaaS型CRMでは太刀打ちできません。
となると独自CRMが唯一の活路となるわけですけれど、それはただの解決策ではないんです。複雑で属人がちになりがちなアナログ情報をデジタル化するためだけに、独自CRMがあるのではありません。システムが支える業務自体のコンセプト、スタイル、文化。その独創性をさらにブーストし、新たな気づき、革新のきっかけを与えてくれるのもまた、独自CRMの素晴らしい点だと思います。システムを改善しながら独創性の高い業務をより良いものにしていく、相乗効果の永続的サイクル。その入口は、SaaS型CRMで見つけることはできません。

独自CRMを開発して・・・失敗するケース
さて、そんな独自CRMですが、他にないものを作るわけですから難易度は低くありません。まずは、比較検討したSaaS型CRMでもできることと、カバーできないことを箇条書きに書き出してみましょう。
その、カバーできないことこそ、慎重を期しながら作り上げる必要のある部分です。でも、慎重にシステムを作るって、どういうやり方をイメージしますか?
もし、入念に時間をかけて仕様書や設計書を作り、それを現場責任者に目を皿のようにしてレビューしてもらってから進めることをイメージしているのだとしたら、ぜひ気をつけていただきたいです。それは、よくある失敗の入口です。
書類では、システムの使い勝手は体感できません。また、実際に運用してみないと、本当に期待することとのギャップはフィードバックしてもらえないのです。
ん?じゃあ、どうしたらいいの?
そう思われたかと思います。
ここでひとつ、お知恵に入れていただきたい情報があります。
この国では、ITシステム開発を建築のように考える習慣が根強く残っています。だから、設計をしっかりやって、設計通りに作る方法が至極妥当に感じちゃうんです。でも、もっともっとやわらかい頭に切り替えることが大切です。他に、より良いやり方があるんです。
建物は、一度作ってしまってから変更することは容易じゃありません。完成後に、ドアや窓の位置を変えたい、階段を北じゃなくて南にしたい、北にはエレベーターを。無理ですよね。
ITシステムもそうでしょうか?
答えはNoです。よくできているITシステムというのは、いくらでも変化・改良を受け入れることができるのです。ソフトウェアとは、いい得て妙な表現だなぁとつくづく思います。
ここに、建築設計とは違う、ITシステム設計の特質があります。
ですが、多くのシステム開発ベンダーは途中や完成後の変更をいやがります(=行う場合には、高額なコスト、長期のスケジュールが発生することを意味します)。どうしてでしょう。
それは、ウォーターフォール型とよばれる、建設業界の考え方をベースにしたプロジェクト技法で進めていたからです。設計に時間をかけ、設計書通りのものを期限内に作る。その方法で進める前提では、途中や完成後の変更、改良を許容してしまうと、大きな時間と費用に直結してしまうんです。
建設業界由来のウォーターフォール型では、プロジェクト初期の頃につくるものを仕様書、設計書で細かく決めます。決めすぎてしまう、という表現がより適切でしょう。本当にそれが正解なのかもわからないのに・・・です。
さて、そうして作成したドキュメントが精細な分、その通りに動くプログラムを書くのにも手間と時間がかかります。そうして緻密に作り上げたプログラム。想像してみてください。いくら実際に使ってみて使いづらかったからと言え、変更するとなると・・・もう一度緻密な設計からやり直すわけで、加速度的に時間とコストがかかってしまうんです。
現場の責任者やユーザー(場合によっては取引先)が実際に触って見る前に、決めすぎてしまう、作りすぎてしまうことは、ITシステムの開発というカテゴリでは決して美徳ではありません。
もちろん、そうした古い進め方にもメリットもありますよ。最初に時間をかけて仕様を細かく決めてからGoするので、金額と納期をあらかじめフィックスすることができるのです。
でも、そうしてできがったCRMが、現場にフィットしない、歓迎されない、期待を大きく下回るものだったら・・・?厳しい話ですが、使われずに廃棄されるだけなんです。役割柄、独自システムの構築を過去に何度も失敗されている企業さんとお話したことがありますが、みなさん、予算と時間をドブに捨ててしまった、と一様に口を揃えられます。さらにはみなさん”鬼門”だとか”呪い”だとか、”積年の・・・”なんて表現されています。
捨てるってことは、緻密な計画と時間をかけて完成したものは、(言葉を選ばずすみません)結局ゴミだったってことですよね。いくら納期と費用が約束されていても、それはゴミが納品されるまでの期間、ゴミの値段だったわけです。
本当に、なんともモヤモヤするお話ですよね。
こうした良くない流れは、開発プロジェクトの責任者の方や、開発を請け負うシステム開発会社の意識にあります。「現場に必要なシステムは、じっくり考えればあらかじめ青写真を完璧に見通すことができる」。そういういうおごりからうまれているということを、強くお話しておきたいです。
どんなに経験豊富で頭が良くても、そんなことできないんです。それくらい、御社の業務自体や、事業を取り巻く人と環境、そしてIT技術の難易度、トレンドの変化には複雑な部分があるのです。ぜひ、見通せるという幻想を捨てることから始めて行ってほしいのです。

失敗しないためにはどうしたらいい?
従来のウォーターフォール型での開発方法がうまくいかないなら、どうするの?ということになりますよね。ぜひ、安心してください。日本以外の先進国のITシステム業界でも同様の議論は随分前にされていて、すでに2000年の初めごろに解決策が見つかっています。それが、アジャイル開発という開発方式です。ちなみに、日本は遅れていて、ここ数年でようやく事例がメディアに載るようになってきた、というフェーズです。
アジャイル開発では、はじめにプロジェクトを全部見通すことなんてできない、それは幻想なんだ、というところから出発します。アジャイル開発をもっとも短く言い表すならば、「動くものを少し作っては、現場やステークホルダーのみなさんに触っていただく。そうしてフィードバックをしょっちゅういただき、ごくごく小さいサイクルをぐるぐる回しながら本当に欲しかったものをつくり上げていく手法」です。
作り手側だけで決めすぎず、作りすぎず。使う人たちと短いサイクルで定期的に確認しながら確実に進めていくのがアジャイル開発です。だから、完成したらゴミだった、というようなことにはならないのです。
旧来のウォータフォール型で同様のことはお願いできないのだろうか。かつて開発プロジェクトに失敗している方は思い当たるかもしれません。あるいはその経験がない方も次のようなやりとりを想像してみてください。
あなた「例のシステム、進捗状況はどんな感じですか?」
開発ベンダー「はい、それはもう順調に進んでいます。」
あなた「とりあえずできたところまででいいんで、少しだけ触らせてもらえますか?」
開発ベンダー「すみません。そうしていただきたいのはやまやまなんですが、テストが終わっていないので何が起こるかわからず・・・弊社のポリシーとしてそのような状態でさわっていただくことができないんです。」
あなた「いやいや、全然不具合とかあってもいいんで。使い勝手のイメージを確認したいだけなんで。」
開発ベンダー「大変申し訳ありません。こればかりは。」
なんでだよ、って思いますよね笑。触ってみてから気づくこともあるから、ちょっと触らせてほしいですよね。でも、まったく触らせてもらえずに、半年とか1年くらい経ってやっと触れる頃になって次の一幕が待っていたりします。
開発ベンダー「長らくお待たせいたしました。存分に触っていただいて、仕様書通りにできていることをご確認ください。このご検収にかけていただける日数は契約書通り2週間となります。」
あなた「うん・・・たしかに仕様書通りなんですけど、現場の人たちから使いづらいって声が多くて。ちょっとした変更で解決できそうなんで、お願いできないですか?」
開発ベンダー「それはつまり、仕様変更ということですね?申し訳ありませんが、対応いたしかねます。」
あなた「あ、もちろん、追加の費用とスケジュールは用意しますよ。このままじゃ、導入しても使ってもらえなさそうな雰囲気なんですよ。ちょっと死活問題でして。」
開発ベンダー「そういうことでしたら、まずは当初契約分の残金のお支払いをいただいて、しかる後にあらためて次フェーズでのご相談となります。」
あなた「次フェーズっていつごろですか?すぐお願いしたいんですけど・・・」
開発ベンダー「どうでしょう。私の一存ではなんともですが、今年の後半ごろに改めて体制を作る、って感じでしょうか。」
俗に言う、いつまでも完成しない”デスマーチ”はこのようにして始まっていきます。

開発ベンダーの人たち、いじわるしていると思いますか?ま、人の気持ちが汲み取れていない、立場を察することができない点はどうかと思っちゃいますけど、彼らの気持ちはこんなものです。
(あらかじめ作るものと、納期を決めてここまで長くやってきたんだ。ここで、予定通り請求書が出せないなんて、話にならない!あとから出てきた要望?約束にないことは知らないよ!)
彼らの言い分にも、ちょっと同情の余地があります。それは、”作る前に、作るべきものの費用と期間を決めさせられていた”、という点です。
彼らはその見返りとして、予定通りに請求書を出して、このプロジェクトを終わらせたいんです。
じゃあ、アジャイル開発はどう違うんでしょうか。
アジャイル開発は、開発を請け負うベンダーと発注者であるあなたとの間に上下関係を作りません。共通の目的を持つ、フラットな仲間関係を前提にスタートします。共通の目的とは、あなたの事業を大きく前進させ、未来を輝かせる顧客管理システムを構築して運用すること、です。
そんなうまい話ある?って思いましたか。そりゃ、そういう目的を共有できるなら素晴らしいけど、ベンダーは慈善事業ではないし・・・。
ごもっともです。御社にとってうまい話でも、ベンダーにとってうまい話でなければこんな関係は築けません。では、ベンダーのうまみとは何でしょうか。
それは、たったふたつのことです。
- 世の中に役立つ、意味があって良い仕事をしたい
- がんばる自分たちに見合う評価をもらいたい
このふたつです。
ここから先は、僕らPRIME ORDERとしての見解が強くなりますが、ご容赦ください。その分、とってもリアルなお話になると思います。

世の中に役立つ、意味があって良い仕事をしたい
僕らIT技術者は、身を置く環境を間違えれば、いとも簡単に”苦しいのに無益な仕事”に従事させられます。結局完成しないシステム、あるいは完成しても使用されないシステム。そんなものを日夜を徹して開発させられたり。もっと良いものを作れるのに、穴だらけの仕様書通りに開発することを強いられたり。若いうちはお金をもらっていれば我慢できたことも、僕らくらいベテランになってくると、お金の問題じゃなくなってきます。ストレス、モチベーションというのは死活問題になります。僕らは、世の中に役立つ、意味があって良い仕事をしたいと願っているからです。
がんばる自分たちに見合う評価をもらいたい
とはいえ。いくら良い仕事をしている自覚があっても、もちろん無給ではできません。それぞれに生活がありますからね。高額である必要はありませんが、その生活の安定がちゃんと約束されるだけの報酬を、がんばってくれてありがとう、という気持ちとともにいただきたいと思っています。従来型の開発プロジェクトのような、「完成したら支払うよ」ではダメなんです。僕らは必ず月々の成果を届けますから、それにあわせて月々の報酬をいただきたいのです。
このふたつが満たされれば、アジャイル開発チームはあなたと同じくらい熱心に(ときにはあなたよりも熱心に)、事業の未来を素晴らしいものに買える顧客管理システムの構築にコミットします。
あえてアジャイル開発の具体的なプラクティスに触れずに説明していますが、従来型のウォーターフォールと決定的に違う部分をお伝えできていれば嬉しいです。ポイントは、開発ベンダー側の御社のITシステムを作る目的意識の違い、です。
PRIME ORDERのアジャイル開発なら、あなたの事業を自分ごととして真剣に考えるベテランチームによって、あなたと組織が”本当にほしい顧客管理システム”を迅速かつ柔軟に構築することができます。

おわりに
コーポレートサイトやオフィスのレイアウトにこだわるように。
社内の雰囲気を良くするためのルールや文化づくりにこだわるように。
業務を支える顧客管理システムを完全オーダーメイドで、御社ならではのこだわりを詰め込んだ、唯一無二のものにしませんか。
PRIME ORDERには様々な業種のお客様への、ワンアンドオンリーのCRM開発の経験が豊富にあります。また、ビジネスに寄り添う柔軟な対応が可能なアジャイル開発に大変たくさんのご評価をいただいています。まずはお気軽にご相談をいただければと思います。


内藤 洋史
1999年、慶應義塾大学経済学部卒業し、isiD(現在の電通総研)に入社。 大手SIerでの洗練された上流工程を数年経験後に、小さなソフトウェアハウスでの泥臭いフルスタックな毎日に身を投じる。
長年にわたるエンジニアマネジメント体験から、開発チームのモチベーションこそがプロジェクト成功の鍵になることを確信。2019年、自身のノウハウと独自の組織論を核に据えて、クライアントとプロジェクトの成功にコミットする新しいシステム開発「PRIME ORDER」をスタート。
週末は、少年サッカークラブの監督という別の顔を持つ。