こんにちは!
PRIME ORDERです。
スタートアップ企業や新規事業でシステム開発をアウトソースしたいと考えている方が頭を抱えることの1つにシステム開発費用があります。大手企業の新規事業でシステム開発を検討している場合、初期投資の資金を準備できるかもしれませんが小企業や小規模事業者、スタートアップ企業でシステム開発を検討している場合、できる限りコストは抑えていきたいというのが本音ではないでしょうか。
しかし、費用ばかりを気にして過度にコストカットを進めた結果、プロジェクトが始まってから「システム受託開発会社と揉めてしまいプロジェクトが頓挫してしまった」、「思っていたシステムと別モノができてしまった」というお悩みを聞くことも少なくありません。
できる限りコストは抑えていきたいけどいいシステムを作りたい!と思うのは当然なこと。だからこそ開発コストを抑えるという考え方ではなく、各種補助金の利用を検討してみるのはいかがでしょうか。国や地方自治体などが様々な補助金制度を提供していて、これらの中にはシステム開発に利用できるものがあります。
特にシステム開発向けに利用できる制度は3種類あります。それぞれがどのような制度であり、利用時にはどのような注意が必要なのか解説します。
中小企業・小規模事業者のシステム開発で利用できる3つの補助金
中小企業や小規模事業者がシステム開発で利用できる補助金は、上限金額が高い順に以下の3つです。
- ものづくり補助金
- IT導入補助金
- 小規模事業者持続化補助金
これら3種類はそれぞれ異なった補助金制度となっています。ただ、共通しているのは「業務改善につながるシステム導入の費用補助」という点です。つまりパッケージシステムの導入や新規のシステム開発に利用できます。
逆に違いは「補助金の上限金額」と「補助金の支払いタイミング」です。ここは注意していなければ、補助金を利用したシステム開発で失敗する可能性があります。以下でそれぞれの補助金を解説します。
ものづくり補助金の概要と利用時の注意点
ものづくり補助金とは
ものづくり補助金は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の略称です。中小事業者および特定非営利活動法人が申し込み可能で、「一般型」「グローバル型」「ビジネスモデル構築型」があります。システム開発を利用する場合は「一般型」の利用が基本で、補助金額は100万円~1,000万円です。
比較的高額な補助を受けられますので、スクラッチシステムなど高額なシステム開発に適しています。またシステム開発費用にしか利用できないわけではなく、システム開発に必要となる機器の購入費用や、システムを設置するクラウド環境の利用費用などにも利用できるため、中小企業やスタートアップ企業のシステム開発やツール導入など初期費用が大きいものを導入検討する際に利用されます。
利用時の注意点
最初に注意してもらいたいのはものづくり補助金の採択条件です。採択には審査があり、公式サイトの公募要領(一般型)を参照すると全13項目で審査されます。
※https://portal.monodukuri-hojo.jp/common/bunsho/ippan/6th/reiwakoubo_210405.pdf のスライド20 表2:審査項目
この審査項目を網羅できるように事業計画を作成しなければ審査落ちの可能性が高まります。項目をよく確認し抜け漏れなく記述するように注意が必要です。
また、採択が決定された後は、補助金の交付よりも先に補助事業期間が発生します。つまり、補助金をもらうよりも先に自腹で支払いをしなければなりません。立て替えが必要となる補助金ですので、ここも注意が必要です。
また、採択されても補助金が支払われるとは限らない点も注意が必要です。ものづくり補助金では「給与支給総額の年率平均1.5%以上増加」との条件があります。これを満たさなければいけないのです。
PRIME ORDERのプロジェクトオーガナイザーからのコメント
システム開発を行う際に一番相談が多い補助金が「ものづくり補助金」です。いくつかの採択条件があるため、ハードルが高く感じますがSaas型システムやパッケージ製品の導入ではなく、スクラッチで新規システム開発を行う際には最も利用されている補助金だと思います。
IT導入補助金の概要と利用時の注意点
IT導入補助金とは
IT導入補助金はITツールの導入にあたり費用の一部を補助してもらえる制度です。中小事業者の中でも数多くの業種が対象となり、「A類型」「B類型」とコロナ対策の「C類型」があります。一般的には「A類型」「B類型」を利用し、補助金額は40万円~450万円です。
40万円と比較的少額の補助から受けられますので、小規模なシステム開発や導入に利用しやすいメリットがあります。しかも、上限金額は450万円ですので、ある程度大きな規模のシステム開発などにも利用できます。
利用時の注意点
最大の注意点は補助金を受けるためには「IT導入支援事業者」に仕事を依頼しなければならない点です。自分で好きな会社を選べるのではなく、事前に事務局に採択された会社にしか仕事を依頼できません。公式サイトにリストの掲載がありますので、そこからの選択が必須です。
また、必ず交付が決定されてから、指定された会社との契約やツールの納入を受けなければなりません。先にツールなどが納入されている場合は補助金の対象となりませんので注意が必要です。
他にもIT導入補助金には「事業実施効果報告」と呼ばれる報告の義務があります。この報告のために最低でも1年はシステムの活用が必要であり、これよりも先に事業を中止してしまうと補助金の対象外となります。
PRIME ORDERのプロジェクトオーガナイザーからのコメント
IT化やデジタル推進において最も認知度の高い補助金である「IT導入補助金」ですが、IT導入支援事業者に指定されている企業に依頼する場合のみ適用される補助金であることからITツールやパッケージ製品の導入時に使用されることが多いです。IT導入支援事業者の認定条件が、受託開発企業やスクラッチでシステム開発を提供するPRIME ORDERのようなサービスとの相性が悪いため当社のようなシステム開発会社にご相談いただく際に「IT導入補助金」を希望される企業様はとても少ないのが実情です。
小規模事業者持続化補助金の概要と利用時の注意点
小規模事業者持続化補助金とは
小規模事業者持続化補助金は日本商工会議所などが中心となり、小規模事業者の販路開拓や生産性向上に必要な経費を補助してくれる制度です。商工会や商工会議所のサポートを受ける必要があり、ここを経由して申請します。補助金額は最大で50万円です。
金額の上限は少額ですが、幅広い用途に利用できます。クラウドサービスを利用した小規模なシステム開発や導入であれば、こちらの補助金を活用して安価で導入ができる可能性があります。しかも補助率は2/3となっていますので自己負担を抑えてシステム開発が可能になります。
利用時の注意点
補助金の対象にしたいと考えている費用の支払いタイミングに注意が必要です。小規模事業者持続化給付金では、採択通知書の後に補助金交付金決定通知が届きます。この補助金交付決定通知が届いた後の発注や契約のみが「費用」として認められます。これより前に契約をしてしまうと、費用の条件を満たしていても補助金の算出対象にはなりません。
また、商工会議所のサポートを受ける際には「経営方針」「経営目標」を明確にするようにしましょう。ここに魅力がなければ、採択される可能性が低くなりますので注意が必要です。現実的な目標を掲げる必要はありますが、「これから地域の発展に貢献してくれる」と思ってもらえるような内容が必須です。
PRIME ORDERのプロジェクトオーガナイザーからのコメント
幅広い用途で利用できることから申請される企業が多い「小規模事業者持続化給付金」ですが、補助金額が最大50万円であることから、システム開発における補助金として利用されるケースはあまり多くありません。ゼロからシステムを開発するとなると数百万円費用が発生することも珍しくないため、システム開発で小規模事業者持続化給付金を使用される企業様はあまり多くありません。
まとめ
中小企業や中小規模事業者がシステム開発に利用できる補助金は3種類です。それぞれ利用条件や上限金額が異なりますので、開発や導入したいシステム規模に合わせて適切な補助金を選択しなければなりません。
- ものづくり補助金=新規サービスのシステム開発や中〜大規模なシステム開発におすすめ
- IT導入補助金=ITツールやパッケージ製品導入におすすめ
- 小規模事業者持続化補助金=ITツールやパッケージ製品導入におすすめ
特に補助金の利用条件は、間違えてしまうと補助が受けられない可能性があり注意が必要です。どのタイミングで支払った金額が補助の対象になるのかは、必ず注意して確認をしましょう。
また、どの補助金に申し込みをする場合でも審査があります。事業計画書などを提出し、それをもとに補助金の対象となるかが判断されます。システム開発を活かしどのような事業を行うのか、この部分は上記の内容を参考に注意しながら組み立てるようにしましょう。