こんにちは!
PRIME ORDERです。
新規でシステム開発を検討されている方やすでにシステムをどこかのシステム開発会社様に作ってもらったことがある方は見積もりや毎月の請求を見て、「システム保守費」や「システム運用費」という項目をよく目にするかと思います。
「なんでシステムの納品が終わっているのに毎月ランニングコストがかかるの?」と疑問を持たれる方も多いかと思いますが、納品されたシステムが正常に稼働するためには必要なコストであることを理解しておく必要があります。
システム開発は単純にシステムを作って納品して終わりというわけではありません。システム導入後に発生する業務として、「システム運用」と「システム保守」があります。どちらもよく見積書や請求書に記載される項目なので目にしたことがある人は多いと思いますが、これらの違いについて正しく理解できているでしょうか。
どういった作業に対してお金がかかっているのかを知り、正しくシステムを導入したり活用したりしていきたいのであれば、システム保守とシステム運用の違いは正しく理解しておくべきです。今回はこれらの違いを具体的な業務を示しながらご説明します。
システム保守とシステム運用の違い
システム保守とシステム運用にどのような違いがあるのか、まずはいくつかの業務を例に出してそれぞれを比較してみます。
大雑把な業務例ではありますが、システム保守とシステム運用にどのような違いがあるのかイメージしてもらえたのではないでしょうか。続いてはここでの違いを踏まえて、システム保守とシステム運用について詳しく解説します。
システム保守とは
最初にシステム保守について業務内容を解説し、業務の具体例をご紹介します。
システム保守の業務内容
保守という言葉には「正常に保つ」との意味があります。これをIT業界に適用し、システム保守は「システムを正常な状態に保つこと」と解釈されます。「正常な状態」とは「利用者が求めるシステムが動作していること」と考えて良いでしょう。
システム保守の業務で重要なのは「正常な状態」が日々変化してしまうことです。「利用者の求めるシステム」が変化してしまうと、「正常な状態」の定義が変わってしまうのです。そのため、システム保守は「何らかの課題を解決する業務」全般を担っているケースが多くあります。
なお、システム保守はテクニカルな業務を担当するケースが多々あります。プログラムに関する知識、サーバなど通信機器に関する知識、ネットワークに関する知識などが必要とされます。
システム保守の業務例
システム保守ではどのような業務があるのか具体例をご紹介します。
1:新規要望に伴うシステム改修
システム保守の代表的な業務例が新規要望に伴うシステム改修です。システムは利用していると新しい要望が生まれてきます。このような要望が生まれると「利用者の求めるシステム」が変化してしまいますので、これを満たすために既存の機能を修正したり、新しい機能を追加します。
ただ、追加のシステム改修には様々な人が携わります。保守を専門に担当している人はもちろん、システムを利用している人やシステムの管理部門、各種責任者などその範囲は大きなものです。システム保守担当者だけが担当するわけではありません。
PRIME ORDERのプロジェクトオーガナイザーからのコメント
世の中のトレンドやニーズが加速的に変化する昨今では、プロジェクト進行中に新規要望が追加されることも少なくありません。PRIME ORDERがアジャイル開発を採用している1つの理由に開発とリリース、アップデートのサイクルを細かく回せるという点があります。従来のウォーターフォール型開発ではキャッチアップしきれなかった要望を素早くシステムに反映することで常に最高のユーザー体験を提供することを目指しています。
2:システム構成のアップデート
システムの追加開発ではなくシステム構成のアップデートもシステム保守で担当します。.システム構成のアップデートとは、開発ベンダーから提供された更新プログラムでシステム構成に変更を加えることを指します。
システム構成のアップデートの場合、システム構成の担当者がプログラムコードの修正が必要になることは稀です。開発ベンダーから更新プログラムと一緒に提供されます。手順書なども提供されますのでそれに沿って変更を加えるのです。ただ、基本的にテクニカルな内容が多く含まれますので、システム運用ではなくシステム保守が担当します。
PRIME ORDERのプロジェクトオーガナイザーからのコメント
システム保守を通して、常に最新のシステム構成を保つことでセキュリティ面など安心・安全にシステムを稼働させることができます。システム保守を軽視しておざなりにすると、ある日突然システムをまったく利用できなくなる、というトラブルもあるので怖いところです。たとえば、暗号化技術に関するシステム構成。暗号化技術は年々進化しており、古い暗号化技術のままシステムを稼働させていると、ある日突然、ブラウザがアクセスを遮断してしまい利用できなくなったりします。
システム運用とは
続いてはシステム運用について業務内容を解説し、業務の具体例をご紹介します。
システム運用の業務例
システム運用ではどのような業務があるのか具体例をご紹介します。
1:定期運用
システム運用業務の中でも中心になるのが定期運用業務です。毎日・毎週・毎月など決められた周期の中で、定期的にシステムに対して処理を与えるものです。
例えば定期運用の例には毎月のパッチ適用や週次の再起動などが挙げられます。決まった期間ごとに決まった業務を繰り返しするものです。事前に対応しなければならない事柄が洗い出されていて、それを着々と遂行していきます。
PRIME ORDERのプロジェクトオーガナイザーからのコメント
クラウド全盛の今日においては、こうした運用業務の多くは全自動化するケースが増えています。実行履歴を確認し、処理が正しく動作していることを確認するのに留めている運用チームが多くなってきています。システム運用に関する手順書があまりに多い場合は、「それはなぜ必要なのか、なぜ自動化できないのか」などの疑問を開発ベンダーや運用担当者に確認してみるのも良いでしょう。
2:ユーザアカウント管理
新規のユーザアカウント作成や削除もシステム運用業務です。システムの利用者は年間を通して増減するものですのが、情報システム部などのシステム運用担当者がアカウントの管理をするケースがあります。
特に企業内で利用しているシステムの場合、セキュリティなどの観点から申請書などを利用してユーザアカウントの追加申請をする場合が多くあります。自分でメールアドレスなどを入力して登録するのではなく、運用担当者が専用の画面を使って登録、発行作業を行います。申請がある度に決められた手順に従ってユーザ作成を行います。
PRIME ORDERのプロジェクトオーガナイザーからのコメント
社内の業務システムや基幹システムを構築した際に必要な運用業務の1つですが、社内に運用チームがある場合、「自社でアカウント発行、削除できるようにしたい」とインハウスでの運用ニーズも高まっています。システム保守はテクニカルなスキルが必要になるので社内でまかなうのは簡単ではありませんが、システム運用の業務についてはなるべく社内で行ったほうが、フットワークが軽くなるからです。運用に必要なことが、平易な操作で実現できるよう機能化されているか、そうでない場合も手順書がしっかりと作成管理されているかを確認しましょう。
3:パスワード初期対応
システムのパスワード初期化対応を行います。こちらも企業内で利用されているシステムに多く、自分でパスワードを初期化するのではなく、申請書を出して運用担当者に初期化してもらいます。
ユーザアカウントの追加と同様に、パスワード初期化も申請書などを提出してもらい申請があるたびに対応します。事前に手順が用意されていますので、それに従って作業をしていきます。
PRIME ORDERのプロジェクトオーガナイザーからのコメント
最近のWebシステムの場合は、登録されているメールアドレスあてにパスワード再設定用URLを含むメールを送る機能を搭載することがほとんどです。機能化によりシステム運用の業務を省力化する好例ですね。本当に人手を介さないといけないことはなにか、システム要件を固める際に検討することが大切です。
4:障害受付・障害発生時の手順書対応・エスカレーション
システムにトラブルが発生する「障害」の発生を検知したり、障害が発生した場合の対応を行います。ただ、システム運用は対応できる内容に限りがありますので、事前に手順書として与えられた範囲内でのみ業務を行います。
もし運用担当者の範囲内で対応できない場合は、システム保守の担当者などにエスカレーションを行います。内容を引き継ぐところまでが業務であり、必ずしも障害の復旧まで担当するわけではありません。
PRIME ORDERのプロジェクトオーガナイザーからのコメント
一昔前は、サーバやネットワークなど、機械故障や不調による障害が多かったものです。そのため、システム障害の発生頻度も高く、こうした運用担当者の存在がとても大切でした。ですが、近年はクラウド化が進み、ハードウェアレベルの故障がシステム障害に直結するケースが激減しています。監視や復旧手順も自動化できるケースが多いので、あまりに分厚いシステム運用手順書がでてきた場合には、自動化や省力化の余地がないか確認しましょう。
5:システムリソース監視
システムが適切に動作しているかリソース監視を行います。リソース監視とは馴染みのない言葉かもしれませんが、システムのCPUやメモリ、ハードディスクの利用状況をツールを利用して監視するものです。
これらの数値が異常値になると、システムの動作に悪影響を与える可能性があります。そのような悪影響を最低限に抑えるために、システム運用担当者が監視をして、異常な値が発見した場合は手順書に沿って適切な対応を行います。
PRIME ORDERのプロジェクトオーガナイザーからのコメント
自動化の波は、システムリソース監視にも及んでいます。一定以上の負荷を検出したら自動的にシステムリソースを増強することもできます。これらはクラウドだからこそなせるものですので、オンプレミスかクラウドかで迷われている場合は、システム運用の合理化の観点で比較をしてみてもいいでしょう。
まとめ
システム開発を依頼する際によく目にするシステム保守とシステム運用の違いについてご説明しました。一言で違いを説明すると、システム保守は「システムの修正・改修・導入」などを指し、システム運用は「システムを日々動かしていくこと」を指します。システムに関する知見があまりない方にとっては、「ランニングコストがなぜかかるの?」と首を傾げてしまうかもしれませんがどちらもシステムを利用していくにあたり重要な業務ですので、違いやそれぞれの役割を正しく理解することが重要です。
また、システム保守はテクニカルな内容を扱うケースが多々ありますが、システム運用は手順書の内容さえ理解できれば良いケースが多々あります。システム保守とシステム運用では求められるスキルが異なりますので、その点も理解しておくとなお良いでしょう。