不動産経験ゼロだから打ち出せた「お客様第一」のビジネスモデル
私は短大を卒業後、携帯電話販売業で起業しました。時流に乗って年商7億円まで伸びましたが、もっと人と関わり、持続可能性のあるビジネスに挑戦してみたいと、24歳で経験・知識ゼロで不動産業界に飛び込んだのです。
2000年、不動産賃貸会社WILL-BEを設立し、営業マンを集めました。不動産業界では歩合制が常識と知り、高い歩合率を設定して業績は右肩上がり。しかし、しだいに歩合ベースの営業スタイルに疑問を抱くようになったのです。歩合ありきの営業は、より歩合のいい物件にお客様を誘導したり、契約を急かしたりと、“お客様第一”からかけ離れしまう弊害があまりに大きいと感じたのです。
住まいはライフステージで進化します。社会人になって一人暮らしを始め、結婚して所帯をもち、子どもが生まれて広い家に引っ越し、老後はコンパクトで住みやすい家に――人生の節目ごとに「WILL-BEに相談しよう!」とお客様に思っていただける持続性のある会社を育てたいと考えたのです。
そこで2005年から歩合制を廃止しました。営業マンが次々去り、一時は赤字に転じましたが、お客様に本当に喜ばれる営業がしたいという人材が増えました。そして、リピーターや紹介が4割を占めるまでになり、お客様のニーズに応える形で不動産売買も手がけ、事業が拡大していったのです。
システムは自社に100%フィットしていなければ意味がない
不動産仲介業において「情報」はもっとも重要な資産です。お客様情報、物件情報、地域情報……私たちの仕事はまさに「情報」で成り立っています。とりわけ弊社はリピーターが多いので、お客様の情報をきちんと管理して、ニーズやライフステージに応じた接客をすることを第一にしてきました。
しかし、お客様との連絡手段は、電話、メール、LINEと多様化しています。一人のお客様の情報が個人のデバイスや複数のシステムに分散されてしまう。すると、担当が休みだと他の社員が対応できない、分散したお客様情報を集めるのに手間がかかる、ミスも発生しやすい。情報が一元管理できていないことは接客品質はもちろん、業務効率面でも問題がありました。
これまでに不動産業界向けクラウドサービスやパッケージソフトも利用しました。でも、7割程度はフィットしても、顧客情報が自社に残らなかったり、LINE対応できなかったりと、どうしても残り3割ほど不満が残る。この3割が先々の弊害や使いにくさを生むことを痛いほど体感しました。
WILL-BEの業務に100%フィットしたシステムでなければ意味がない。そこでPRIME ORDER の力を借りて、SPA※1(単一Webページ)上で、電話、メール、LINEの連絡履歴をすべてタイムライン形式で一覧でき、自社で情報を完全管理できるフルオーダーメイドの顧客管理システムの開発に乗り出すことに決めたのです。